修理業者と修理受付業の違い
かつて賑った商店街などに、今はシャッターが下りたまま、その跡だけを残す時計店は、「時計の修理屋」でもありました。”キズ見”といわれるレンズを目にはめて作業をしていた店主は、接客業というよりは、なんとなく話しかけるのにちょっと気が引ける職人風だったな、と思い出す人もいるのではないでしょうか。
現在はどうでしょうか?こうした昔の時計屋は軒並み店を閉め、繁華街の専門店では高級時計がズラリと並び、流暢な会話と接客で、1日に何個も数十万円を超える時計が売れています。
ご存知の通り、高級時計は精密機器でもあります。ちょっとしたことで故障することも珍しくありません。そんなときは、まず時計を買ったところに修理を依頼することになりますが、現在の販売店に、その時計を実際に分解し、修理できる技術者がいることは非常に稀です。外部の修理業者に依頼している場合がほとんどのため、お客様に、その場で正確な診断をすることができないのです。必然的に、どこに不具合が発生していて、どんな作業を施すのかは当然伝えられず、見積もりは余裕を持ってかなり値段を高めに設定することになります。そうしておけば、万が一追加の交換部品が発生したり、診断違いがあったとしても充分カバーできるからです。
丁寧に使用された時計のなかには、オーバーホールの際、交換部品が発生しないこともあり、その場合比較的安い値段で作業が終了することもあります。
状態がよく、手間のかからない時計と、手荒な扱いを受け修理が大変面倒な時計の修理代金が同じというのは、「正直者がバカを見る」というような気がしてなりません。
当社では、持ち込まれる時計のほとんどを、その場で裏蓋を開封、診断し、見積もりを判断した技術者本人がオーバーホールします。また、接客と技術の連絡が密にできるため、お客様の要望が伝わりやすく、行き違いが起きにくいのも当社の特徴です。
修理業は、人間にたとえるならば、「医者」であり、修理は「医療」です。より身近に感じられる相手に依頼したい方も多いのではないでしょうか。